公開日:2026年11月2日
「子どものいない兄が亡くなりました。弟の私も相続人になるのでしょうか」
「夫が亡くなった場合、妻だけで相続手続きを進められるのでしょうか」
兄弟姉妹が関係する相続では、誰が相続人になるのか、どこまで戸籍を集めるのかが分かりにくいことがあります。
普段から付き合いのある家族だけで手続きを進めると、後から別の相続人がいることが分かる場合もあります。
この記事では、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になる場合に、確認しておきたいポイントを解説します。
兄弟姉妹は、相続順位が第3順位の相続人です。
配偶者以外の相続人には、次の順位があります。
| 順位 |
相続人になる方 |
|---|---|
| 第1順位 |
子。子が先に亡くなっている場合などは、孫などが代襲相続することがあります |
| 第2順位 |
父母・祖父母などの直系尊属。親等の近い方が優先します |
| 第3順位 |
兄弟姉妹。先に亡くなっている場合などは、甥・姪が代襲相続することがあります |
兄弟姉妹が相続人になるのは、第1順位・第2順位の相続人がいない場合です。
「子どもがいない」「両親が亡くなっている」ということだけで、直ちに兄弟姉妹が相続人になるとは限りません。
子が先に亡くなっていても孫がいる場合や、父母が亡くなっていても祖父母が存命の場合などは、その方々の相続権を確認する必要があります。
また、相続放棄がある場合は、誰が放棄したかによって、その後の相続人の範囲が変わることがあります。
法律上の配偶者は、常に相続人になります。
ただし、配偶者がいるからといって、必ず配偶者だけが相続するわけではありません。
例えば、子や孫などがおらず、父母・祖父母なども亡くなっている場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
この場合の法定相続分は、次のとおりです。
| 相続人 |
法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者 |
4分の3 |
| 兄弟姉妹 |
全体4分の1 |
兄弟姉妹の人数や親子関係、代襲相続の有無によって、それぞれの取り分を確認します。
なお、法定相続分は法律上の基準です。遺産分割協議に参加する相続人全員が合意すれば、異なる割合で分けることもできます。
遺言書がある場合には、まずその内容を確認します。
兄弟姉妹が相続人になる場合は、亡くなった方の子の有無だけでなく、父母などの死亡や、兄弟姉妹全員の関係を確認する必要があります。
そのため、主に次のような戸籍が必要になります。
祖父母などの死亡を確認する資料が必要になる場合もあります。具体的な必要書類は、家族関係や提出先によって確認します。
父母に再婚歴がある場合などは、父または母だけを同じくする兄弟姉妹がいることもあります。
相続人の確認は、家族の記憶だけで判断せず、戸籍をたどって行うことが大切です。
転籍や婚姻などにより、複数の市区町村から戸籍を取り寄せる必要がある場合もあるため、余裕を持って準備しましょう。
相続人になるはずだった兄弟姉妹が、被相続人より先に亡くなっている場合、その方の子である甥・姪が代襲相続人になることがあります。
例えば、亡くなった方に弟と妹がおり、弟が先に亡くなっていて子がいる場合には、妹だけでなく、弟の子も相続人になる可能性があります。
一方、兄弟姉妹の配偶者が、その立場だけで代襲相続人になるわけではありません。
また、兄弟姉妹が亡くなったのが被相続人の死亡前なのか、死亡後なのかによって、相続関係の整理が変わります。
誰がいつ亡くなったのかを、戸籍で確認することが重要です。
甥・姪の代襲相続については、次回の記事で詳しく解説する予定です。
遺産分割協議によって財産の分け方を決める場合には、協議に参加すべき相続人全員の合意が必要です。
「近くに住んでいた兄弟だけで決めた」
「長年連絡を取っていないので、その人には知らせなかった」
このような進め方では、有効な遺産分割協議が成立しないおそれがあります。
連絡が取れる相続人だけで手続きを進めず、まず全員の範囲と連絡先を確認しましょう。
遠方に住んでいても、必ず全員が同じ場所に集まる必要はありません。電話や郵送などを使いながら、財産の資料と合意内容を共有する方法もあります。
詳しくは、遺産分割協議書とは?作成前の確認事項と注意点をご覧ください。
兄弟姉妹には、一定の相続人に保障される最低限の取り分である「遺留分」がありません。
兄弟姉妹に代わって相続人になる甥・姪にも、遺留分はありません。
そのため、例えば有効な遺言書で「全財産を配偶者に相続させる」とされている場合、兄弟姉妹は、法定相続分があるという理由だけで遺留分を請求することはできません。
兄弟姉妹が相続人になる場合は、財産の分け方を話し合う前に、遺言書の有無と内容を確認することが大切です。
また、子どものいないご夫婦などが、将来、配偶者へ財産を残したいと考えている場合には、元気なうちに遺言書の作成を検討する方法があります。
兄弟姉妹が相続人になる相続では、戸籍収集の範囲が広く、関係者が多くなることがあります。
まずは、次の事項を整理しましょう。
相続人の間で意見が対立している場合や、遺言の有効性などを争う場合には、弁護士への相談が必要になります。
すぎばやし行政書士事務所では、相続人の間に争いがない案件について、戸籍収集・相続人調査、相続関係説明図の作成、財産調査、合意内容に基づく遺産分割協議書の作成などをサポートしています。
「自分が相続人になるのか分からない」「戸籍をどこまで集めればよいか分からない」という段階でも、ご相談ください。
相続登記は司法書士、相続税の申告・税務相談は税理士と連携して対応します。
詳しくは、相続手続きサポートをご覧ください。
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参考資料
•国税庁「相続人の範囲と法定相続分」
•裁判所「遺産分割調停」必要な戸籍等の案内
•法務省「遺留分とは何ですか?」