公開日:2026年10月26日
「家族で財産の分け方は決まったけれど、書面には何を書けばよいのだろう」
「銀行の相続手続きで、遺産分割協議書は必要なのだろうか」
相続手続きを進める中で、このような疑問が出てくることがあります。
遺産分割協議書を作るときは、書式を整える前に、誰が相続人なのか、どのような財産があるのか、全員が何に合意したのかを確認することが大切です。
この記事では、遺産分割協議書の役割と、作成前に確認したいポイントを解説します。
遺産分割協議とは、亡くなった方の財産について、誰がどの財産を取得するかを相続人の間で話し合うことです。
その合意内容を書面に残したものが「遺産分割協議書」です。不動産の相続登記や預貯金の相続手続きなどで、財産の分け方を示す資料として使用します。
協議によって分け方を決める場合は、その協議に参加すべき相続人全員の合意が必要です。多数決や、一部の相続人だけの判断で決めることはできません。
なお、全員が同じ場所に集まる必要はありません。電話や郵送などを使って確認を進める場合も、最終的な内容について全員が合意していることが大切です。
遺産分割協議書は、すべての相続で必ず作成するものではありません。
例えば、相続人が一人の場合や、遺言書に基づいて財産を取得する場合などでは、遺産分割協議書を使わずに進めることがあります。
預貯金についても、金融機関所定の書類に相続人全員が署名・押印するなどして、別途協議書を作らずに手続きできる場合があります。
必要書類は、相続の内容や提出先によって異なります。まずは、どの財産について、どこで手続きをするのかを整理しましょう。
1.遺言書の有無と内容
最初に、遺言書が残されているかを確認します。
遺言書がある場合は、対象となる財産、取得する人、遺言執行者の指定などを確認した上で、必要な手続きを検討します。
遺言書を確認しないまま、すべての財産を家族の話し合いだけで分けようとしないことが大切です。
2.誰が相続人になるのか
相続人は、家族の認識だけでなく、戸籍などの資料に基づいて確認します。
前の婚姻で生まれた子がいる場合や、兄弟姉妹・甥・姪が相続人になる場合などには、確認する戸籍の範囲が広くなることがあります。
また、家庭裁判所で相続放棄をした人がいる場合などは、その事実も確認します。「財産は受け取らない」と家族に伝えただけの場合とは、取扱いが異なります。
詳しくは、相続人調査とは?戸籍の集め方と確認手順をご覧ください。
3.どのような財産があるのか
不動産、預貯金、株式・投資信託などの財産を確認し、一覧にまとめます。借入金などの債務についても確認が必要です。
見つかった通帳だけで判断せず、ほかの取引先や口座がないかも調べておくと、後から財産が見つかることによる追加の手続きを減らせます。
預貯金の確認方法は、相続の預貯金調査 通帳がない・銀行が分からないときの確認方法で解説しています。
主に、次のような事項を記載します。
| 記載項目 |
確認する内容 |
|---|---|
| 被相続人の情報 |
氏名、死亡日、最後の住所・本籍など |
| 分割する財産 |
どの財産についての合意か特定できる情報 |
| 財産を取得する人 |
誰が、どの財産を、どのように取得するか |
| 金銭の支払条件 |
代償金などがある場合の金額・支払期限・方法 |
| 協議成立日・相続人の情報 |
合意した日、相続人全員の住所・氏名など |
不動産は、登記事項証明書などを確認し、所在・地番・家屋番号などによって特定します。住居表示だけでは十分に特定できない場合があります。
預貯金は、金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号などを確認します。
協議書を相続登記や金融機関の手続きに使用する場合は、一般に相続人全員の署名・実印による押印と、印鑑証明書が求められます。海外に住む相続人がいる場合などは、提出先に必要書類を確認しましょう。
「預貯金は兄弟で分ける」「不動産は長男が取得する」といった表現だけでは、対象や分け方がはっきりしないことがあります。
特に、次のような場合は、内容を具体的に確認しておきましょう。
支払金額や期限、費用の負担、分配方法などを曖昧にすると、合意後に認識の違いが生じる原因になります。
また、借入金などの債務は、相続人の間で負担者を決めても、それだけで債権者に対する責任が変わるとは限りません。財産の取得と同じようには扱えない点に注意が必要です。
相続人に未成年者がいて、親権者も同じ相続の相続人になる場合などには、利益が相反し、特別代理人の選任が必要になることがあります。
判断能力の低下がある方や、連絡が取れない相続人がいる場合も、その方を除いて協議書を作ることはできません。状況に応じた手続きを先に確認する必要があります。
また、以前の相続手続きが終わらないうちに次の相続が発生している場合は、誰の相続について、誰が協議に参加するのかを整理することが大切です。
相続人の間で意見が対立している場合は、弁護士への相談や家庭裁判所の手続きも検討します。
すぎばやし行政書士事務所では、相続人の間に争いがない案件について、ご依頼の内容に応じて次の業務をサポートします。
相続人同士の紛争について、代理人として交渉する業務は取り扱いません。不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告などは税理士と連携して対応します。
遺産分割協議書は、家族で決めた財産の分け方を、その後の手続きにつなげるための書類です。
作成前に、遺言書、相続人、財産、合意内容を整理することで、記載漏れや認識の違いを防ぎやすくなります。
「家族で分け方は決まっている」「戸籍や財産の確認から相談したい」といった段階でも、ご相談いただけます。
詳しい支援内容は、相続手続きサポートをご覧ください。
新宿区高田馬場を拠点に、新宿区・豊島区・練馬区など東京23区・多摩地域を中心に対応しています。対応エリアもご確認ください。
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ご相談は事前予約制です。お問い合わせフォームからも承ります。
参考資料:
•法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」
•全国銀行協会「預金相続の手続に必要な書類」
•裁判所「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」